変わらない建物、変わる人々。
相方と最後のデートをしたあの日。
別れた後号泣した。
家の前まで送ってもらったけど、泣きすぎて家に入れなかった。
相方とのお付き合いは両親に言っていないし、
なんならカミングアウトすらしていない。
だからなんとしても泣いていることをバレたくなかった。
よし、散歩しよう。
あたりは暗く、雨が降っていた。
小さめの折り畳み傘。
リュックが濡れる。靴も濡れる。
歩くたびに思い出す「お元気で」
気づけば母校の小学校まで散歩していた。
その後、中学校にも寄った。
変わらない建物、変わる人々。
みんなは元気にしているだろうか。
僕は今だけは元気じゃないです。
行かないで、行かないで、そう言うよ。(秦基博 「Rain」)
雨の夜、号泣しながら散歩した25歳男性。
散歩が終わって家に着く頃にはもっと目が腫れていたのだった。